『L.A.コンフィデンシャル』(1997年)は、ハリウッドの暗部を描いたネオノワールの傑作です。この記事では、同作の雰囲気やテーマに似た10本の映画やドラマを紹介します。犯罪、裏切り、複雑な人間関係が織りなす世界に魅了された方にぴったりの作品を厳選しました。

The Maltese Falcon (1941)
説明: ハードボイルド探偵小説の古典的な映画化作品で、私立探偵が危険な依頼人たちと対峙する様子を描く。鋭い台詞回しと、影のあるビジュアルスタイルが特徴。
事実: ダシール・ハメットの小説の3度目の映画化で、監督のジョン・ヒューストンにとってデビュー作となった。撮影はわずか2ヶ月で完了し、ほぼ原作通りに制作された。


The Big Sleep (1946)
説明: 古典的なハードボイルド探偵物語で、複雑なプロットと鋭い台詞回しが特徴。私立探偵が依頼を受けて深みにはまっていく様子を、影のあるビジュアルで表現している。
事実: レイモンド・チャンドラーの小説を原作としており、チャンドラー自身も脚本作業に参加した。プロットが複雑すぎたため、監督が作者に「誰が殺したのか」と尋ねたが、チャンドラーも答えられなかったという逸話がある。


Chinatown (1974)
説明: 暗くて陰鬱な雰囲気を持つネオノワール作品で、腐敗と陰謀が絡み合う複雑なプロットが特徴。ロサンゼルスを舞台にした犯罪ドラマで、権力と不正に対するテーマが深く掘り下げられている。
事実: 脚本家のロバート・タウンは、実際のロサンゼルス水利局のスキャンダルを基に脚本を書いた。エンディングの衝撃的な展開は映画史に残る名シーンとして知られている。


The Untouchables (1987)
説明: 組織犯罪と腐敗した警察の対立を描いた作品で、1930年代のシカゴを舞台にした犯罪ドラマ。正義と不正の境界線が曖昧な世界観と、スタイリッシュな演出が特徴。
事実: 駅の階段での銃撃シーンは、セルゲイ・エイゼンシュテインの『戦艦ポチョムキン』のオデッサ階段シーンからインスピレーションを得ている。アル・カポネ役のロバート・デ・ニーロは、実際のカポネが着ていたのと同じテーラーからスーツを特別に注文した。


Devil in a Blue Dress (1995)
説明: 1940年代のロサンゼルスを舞台にしたネオノワール作品で、人種問題と犯罪が絡み合う複雑な物語。私立探偵を主人公にしたミステリーで、ジャズの影響を受けたムードある映像美が特徴。
事実: ウォルター・モズリーの小説を原作としており、アフリカ系アメリカ人作家のハードボイルド小説として初めて大規模な映画化がされた作品の一つ。主演のデンゼル・ワシントンはこの役のために大幅なギャラ減額を承諾した。


Se7en (1995)
説明: 暗く雨の降り続く架空の都市を舞台にしたサイコスリラーで、猟奇殺人事件を追う刑事たちの苦悩を描く。モラルの曖昧さと、人間の暗部に迫る重厚なテーマが特徴。
事実: 劇中で使われたノートブックは、実際に俳優のケビン・スペイシーが数ヶ月かけて手書きで作成した。エンディングの衝撃的な展開は、スタジオからの強い反対を受けたが監督が譲らなかった。


Mystic River (2003)
説明: 犯罪とその余波を描いた心理ドラマで、過去のトラウマが現在の事件と絡み合う複雑な人間関係を掘り下げる。暗く重たい雰囲気と、コミュニティに潜む闇をテーマにしている。
事実: 原作小説の著者デニス・レヘインは、ボストン警察の親戚から聞いた実話を基に物語を構築した。撮影は実際のボストンで行われ、地元住民がエキストラとして参加している。


Gangster Squad (2013)
説明: 1940年代のロサンゼルスを舞台にした犯罪アクションで、組織犯罪と戦う特別捜査班の活躍を描く。スタイリッシュな暴力描写と、ノワール的なビジュアルスタイルが特徴。
事実: 原作はポール・リーバーマンのノンフィクション本で、実在したLAPDの秘密部隊「ギャングスター・スクワッド」を基にしている。当初予定されていた映画館銃撃シーンは、2012年のコロラド州での銃乱射事件を受けて撮り直された。


True Detective (2014)
説明: 南部を舞台にした犯罪アンソロジーシリーズで、時間を跨いで展開する複雑な殺人事件を追う。哲学的で文学的な台詞と、深い人物描写が特徴のノワール的な作品。
事実: 第1シーズンのルイジアナ州の設定は、制作陣が実際に同地を訪れて地元の伝承や文化を調査した結果生まれた。8時間の長編映画のような構成は、テレビドラマの形式を革新したと評されている。


The Nice Guys (2016)
説明: 1970年代のロサンゼルスを舞台にした犯罪コメディで、腐敗と陰謀が渦巻く世界を風刺的に描く。ペアになった探偵たちの掛け合いと、ノワール的な要素を現代的な感覚で再解釈した作品。
事実: 監督のシェーン・ブラックは、自身が子供時代に体験した1970年代のロサンゼルスの雰囲気を再現するために細部までこだわった。劇中で使われている広告のほとんどは実際の1970年代の広告を再現したもの。
